平成30年7月改正、平成31年(2019年)1月13日より順次施行されております。
今回の相続法改正の主なポイント
配偶者居住権とは、配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に住んでいた場合に、終身または一定期間、その建物を無償で使用することができる権利のことです。従来、被相続人の遺産分割において、自宅と預貯金があった場合、配偶者は自宅を相続する反面、その分手元に現金が少なく、生活に不安が生じるケースが存在しました。その点を改善すべく、今回の改正では、自宅に住み続けながら預貯金などのほかの財産もより多く取得でき、その後の生活の安定も図ることが出来るようになりました。※2020年4月1日以後に開始する相続において適用されます。
事例:相続人が妻と子1人、遺産が自宅(2,000万円)と預貯金3,000万円だった場合
妻と子の相続分=1:1(妻2,500万円、子2,500万円)
※婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等
に関する優遇措置※2019年7月1日施行
従来、被相続人が配偶者に対して生前に自宅の贈与等をした場合であっても、遺産分割における計算上、遺産の先渡しを受けたものとして取り扱われ、配偶者が遺産分割において受け取ることができる財産の総額が減らされていました。つまり被相続人の、自分の死後に配偶者が困らないようにとの意思がうまく反映されていませんでした。その点を改善すべく、今回の改正では、
婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用の不動産の贈与等については、原則として遺産の先渡しとは捉えず、結果、配偶者は遺産分割時により多くの財産を取得することが出来るようになりました。
→被相続人の意思が反映され、配偶者の生活の安定がなされるようになります!
生前贈与分については、
遺産の先渡しとして相続財産とみなす
【遺産分割時】
(7,000万円+2,000万円※生前贈与分)
×1/2=4,500万円
4,500万円-2,000万円※生前贈与分
=2,500万円
【相続財産総額】
2,000万円※生前贈与分
2,500万円※遺産分割時=計4,500万円
結果として、生前贈与があった場合となかった場合とで、相続財産の額が同じになってしまう。
生前贈与分については、
遺産の先渡しとはせずに相続財産に含めない
【遺産分割時】
7,000万円×1/2=3,500万円
【相続財産総額】
2,000万円※生前贈与分
3,500万円※遺産分割時
=計5,500万円
贈与がなかった場合と比較して、より多くの財産を配偶者が取得できる。
結果、相続人の意思が反映され、遺された配偶者保護に繋がる事になります。
自筆証書遺言は、自宅で保管されることが多く、せっかく作成しても紛失などで相続人に渡らない可能性や、内容を書き換えられたりする恐れがありました。そこで、こうした問題による相続での紛争を防止し、遺言書作成を促進するため、法務局において自筆証書遺言を保管する制度が創設されました。
遺言者の死亡後に、相続人や受遺者らは、全国にある遺言書保管所(法務局)において、以下の事を行えます。
・遺言書が保管されているかどうかを調べること
・遺言書の写しの交付を請求すること
・遺言書を閲覧すること
★法務局にて保管されている遺言書については、検認が不要となります。
申請・請求の種類 | 申請者・請求者 | 手数料 |
遺言書の保管の申請 | 遺言者 | 一件につき、3900円 |
遺言書の閲覧の請求 (モニター) | 遺言者 関係相続人等 | 一回につき、1400円 |
遺言書の閲覧の請求 (原本) | 遺言者 関係相続人等 | 一回につき、1700円 |
遺言書情報証明書の 交付請求 | 関係相続人等 | 一通につき、1400円 |
遺言書保管事実証明書の交付請求 | 関係相続人等 | 一通につき、800円 |
申請書等・撤回書等の 閲覧の請求 | 遺言者 関係相続人等 | 一の申請に関する申請書等又は一の撤回に関する撤回書等につき、1700円 |
法務局又は地方法務局 | 本局、支局又は出張所 |
横浜地方法務局 | 本局、川崎支局、横須賀支局、湘南支局、西湘二宮支局、 相模原支局、厚木支局 |
東京法務局 | 本局、板橋出張所、八王子支局、府中支局、西多摩支局 |
従来、自筆証書遺言書を作成する場合には、全文自書にて行う必要がありました。そのため、財産目録等全てを自書しなくてはならず、その作業は負担の重いものでありました。今回の改正では、遺言書に添付する相続財産の目録については、パソコンで作成した目録や通帳のコピーなど、自書によらない財産目録を添付することが出来るようになりました。もっとも、添付する自書によらない財産目録に署名押印は必要であり、偽造を防止しなくてはなりません。
従来、被相続人の預貯金が遺産分割の対象になっている場合、遺産分割が終了するまでの間は、各相続人単独では払戻しが出来ませんでした。そのため、葬儀費用などの資金需要があっても対応が困難なケースが考えられました。そこで、各相続人が、遺産分割前でも、遺産分割の公平性を図りつつ、一定の範囲で預貯金の払戻しを受けることが出来る制度が創設されました。
(1)預貯金債権の一定割合については、家庭裁判所の判断を経ずに金融機関の窓口における払戻しが
受けられるようにする。また遺産に属する預貯金債権のうち、一定額については、各相続人単独
での払い戻しを認めることとする。
(2)預貯金債権に限り、家庭裁判所の仮分割の仮処分の要件の緩和
仮払いの必要性があると認められる場合には、ほかの共同相続人の利益を害しない限
り、家庭裁判所の判断で仮払いが認められるようにする。
相続人ではない親族(例えば子の配偶者など)が被相続人の介護や看病を行っていたとしても、相続人ではないため、遺産分割の際に相続財産の分配対象とならず、不公平感が指摘されていました。
そこで今回の改正では、相続人以外の被相続人の親族が、無償で被相続人の介護や看病を行うといったような特別の寄与をしていた場合には、相続人に対し、金銭の請求をすることが出来るようになりました。
改正前では、遺言にて遺留分を侵害された者が遺留分減殺請求権を行使すると、物権的請求権と捉えられていたため、金銭で応じる必要性がなく、結果として不動産や株式に複雑な共有状態が生じることがありました。これでは、不動産の処分や株式の売却の際に支障が出たり、そもそもの遺言者の意思が反映されない結果となってしまいます。そこで今回の改正では、遺留分減殺請求によって生ずる権利は金銭債権とすることとしました。これにより、共有関係が当然に生ずることを回避し、遺言者の意思をより反映したものになったと言えます。
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登記事項証明書の交付を請求する場合の手数料が改定されます。
改訂前700円→改訂後600円 (平成25年4月1日より)
土地の売買による所有権移転登記の際の登録免許税は現在特例措置により、通常税率1000分のの20のところ、1000分の15とされています。
※法改正により変更となる場合があります。